コールドスリープから目覚めて陶芸家として生きていくと決めた時に受けたインタビュー記事の写真

【ローカル誌 ねもりんだより 創刊200周年特別号（2198年12月号）内、200周年記念特別連載企画「こんにちは21世紀男②」より】 「（200年経っても）思ったほど何も変わってないですね。もっと「未来！」ってなっているって思いました。町の人たちも相変わらずでしたし。びっくりしたのはO木さんがいたことですね。もちろん子孫ですが、（私が知ってるO木さんに）そっくりで驚きました。あのポンコツロボットも相変わらずいましたね。研究所も。ああそうそう。一番ホッとしたのはスクガーがいたこと！ファン活動が捗ります。」 【このコレクションのあらすじ】 彼の名は円録郎（まどか ろくろう）。だが、町の住民たちが彼を本名で呼ぶことは少ない。 この町にはローカル月刊誌が10誌存在する。 町の人々は口を揃えたようにこう言った。 「毎月、半分はあいつが載ってる」と。 そう、彼はとにかく行く先々でなぜか取材を受けてしまう体質なのだ。 彼はどこにでもいる、ただちょっとお人好しなだけで、何か特別偉業を成し遂げたわけでも、億万長者なわけでもない、築47年の単身者用アパートの一室に居を構える普通の青年である。 しかしなぜか記者が目ざとく彼を見つけては、突撃インタビューを繰り返す。 最低でも3誌、ひどい月だと9誌に彼が載っていた。 気の毒と言うべきか、ひとつの才能というべきか、そうして気前よく取材に答える彼から出来上がった記事がすこぶる評判がいいのだ。 「彼の言葉に救われた」「ありがとう」「草」と言った封書やメールが毎回届くくらいだ。 記事内で使用されている写真がいつも同じアングル、ポーズであることから、いつしか人々は彼を愛と敬意を込めてこう呼んだ。 『轆轤廻し（ロックローラー）』と。