妖怪いそまるコレクション　No.5 死神

死神がこの世に降りて来た。 それは死が近いと思い込んでる鳥を迎えに来たわけじゃない。 死神がなぜこの世に来るか？ それは、、、スリル、緊張感を味わうため。 エレベーターテロだ。 死神は何人か乗っているエレベーターの中に乗り、持参の黄色い鳥のおもちゃを握りはじめる。 するとその鳥のおもちゃからは、なんともアホらしい鳴き声の音が出る。 乗客がビクつく。 無音の空間で、聴いたこともないアホな鳴き声が響き渡る。 エレベーター内の緊張感がグッと高まった。 何人か笑いを堪えようと必死である。 だが1匹も笑う者はいなかった。 死神は少ししてからもう一度おもちゃの鳥を握る。 またもや変な鳴き声がエレベーター内にこだまする。 不意をつかれた乗客たちが笑いを堪えようと肩を震わせる。 皆、「やっぱり２回目もきた」と心の中でどこか覚悟をしていたのである。 されど２回目。 ２回目の破壊力は抜群だった。 脇汗が止まらず、8×4のスプレーをまるまる一本使うメス達　　　　 必死に鼻毛を抜いた毛を手のひらに乗せて ふぅ〜っと吹くオス達 ガチャピンとムックがどっちかわからなくなった子供も現れた。 皆、自我を保つのに必死だ。 でもその中で1番やばい状態だったのは死神であった。 そりゃそうだ。 おもちゃの鳴き声と 大量の8×4の噴射の中、鼻毛がチラホラ空中でコーティングされ、綺麗に舞ってるんだもの。 それはまるでダイヤモンドダスト。 死神も初めてみる光景だった。 今までに味わった事のないシチュエーションにかなりエキサイトしていた。 百戦錬磨の死神も自我を保つのに必死だった。 コーティングされた鼻毛が目に入り充血し始めた。 空気が悪い室内のため鼻毛も伸びてきた。 体調に異変が現れ 死神が膝を着く。 でも皆、声を出して笑ったものはいない。 なんてタフなやつらだ。 でもその緊張感がたまらない。 カオスな室内。 ここでダメ押しの３回目を発動させる。 死神にとって初の３回目。 死神すらその向こう側の世界を見たことはなかった。 またアホな鳴き声が室内に響き渡る。 ！？ 誰一人笑い声を発しない。 why！？ 鳴き声からわずか1秒後の事だ。 エレベーターは一瞬にして大爆発を起こし 乗客、死神もろとも爆死したのだ。 エレベーターは跡形もなく吹き飛んでいた。 何が起きた！？なぜ爆発！？ 詳細はこうだ。 ２回目後、3〜4匹のメス達が8×4のスプレーを撒いた。 オス達の抜いた鼻毛が宙を舞、コーティングされる。 鼻毛は鉄のように硬くなる。 ３回目の鳴き声。 その瞬間、笑いをこらえられず、一度息を吸う。 硬いクチバシの付け根あたりにある鼻に 宙に舞っている鼻毛が吸い寄せられ かたい鼻と、かたい鼻毛がぶつかり 静電気を発生させ 着火し大爆発。 皆、焼き鳥となったのが今回の悲しい事故である。 この事故をきっかけにエレベーター内では 両手を上げながら乗ることが義務となり それ以降このような痛ましい事故は起きてないとの事です。 まさか死神は、皆が最終的に爆笑すると思っていたのに 爆死するとは思わなかっただろう、、、 みなさんも、エレベーターに乗る際は どうかお気をつけ下さい。