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ミスター・Pは旅人だ。彼は街から街を転々としながら、世界を渡り歩いていた。ミスター・Pが旅人である理由はただ1つ。世界中の文化に触れ、見聞を広げたいという一心であった。そんな彼には、1つの癖のようなものがあった。ミスター・Pは人集りができていると首を突っ込まずにはいられないという性だった。野次馬根性といったところであろうか。彼は、些細な事件からこそ、その土地の文化、そこに住む人々の考え方がわかると信じていた。 「小さな事柄にこそリアリティがある。」 これはミスター・Pの口癖だった。彼は、最近になって発見された大陸を横断する旅をしていた。この大陸の内陸部には砂漠地帯が広がっており厳しい気候であったが、街は多く存在していた。ミスター・Pはすでに4つの街を訪れていた。わりと近接する街であったが、それでも街ごとに文化や考え方は大きく異なっていた。次に彼が目指している街はそれまでの4つの街から離れたところにあるため、さらに異なる価値観に巡り会える事が期待された。ミスター・Pは前の街を出てから4日間野宿を繰り返し、5日目の昼過ぎに次なる街に辿り着いた。この街はそこそこの大きさで、砂漠の街としては栄えているほうだと言えた。ミスター・Pはとりあえず街のメイン通りを目指して歩いた。その街を知るためには街の中心となっている通りを歩く事、これが彼が旅人をする中で見つけた技であった。ミスター・Pは周りの風景を楽しみつつ、メイン通りに続く道を進んだ。彼は道行く人々とすれ違い、彼らはかなり背が高い事に気が付いた。10分ほど歩くとメイン通りに差し掛かり、さらに5分ほど進んだところでミスター・Pは広場を見つけた。広場には人集りができていた。「これは何かある!」ミスター・Pは人集りへ走っていった。 「すみません。私は旅の者ですが、ここで何かあったのですか?」 ミスター・Pは集団の端にいる人に尋ねた。しかし、反応がなかった。彼は少し不審に思ったが、それだけ熱中する何かがあるのだと考えた。ミスター・Pは人集りの中心を見たいと思い、背伸びをして覗きこもうとした。しかし、この街の人々は身長が高く、彼は中心を見る事はできなかった。また人が多く、隙間から覗く事もできなかった。ミスター・Pはどうにかして覗き込もうとしたが、どうにもならなかった。そして、人集りは夕方になっても消えることはなかった。彼はますますこの場所に何があるのか興味を持ち、野次馬根性に火が点いた。 衝撃のシュルレアリスム文学。待望の一編は袋とじにて完結。乞うご期待。
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