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「遊びに行ってきまーす!」 「森か?あんまり奥に行くなよ!とくにあの森には気を付けろよ!」 「わかってるよー!」 少年Pの住む村の近くには、「妖精の森」と呼ばれる森があった。その森の正確な位置は誰も知らない。妖精は大人には見えず、子供にしか見ることはできないからだ。一部の大人はその声を聞くことができたようだが、それでも姿までは見える者は1人としていなかった。そして、妖精の森には恐ろしい噂があった。森に迷い込んだ人間は二度と帰ってこられないという噂が。ただ、この噂は厳密には正確ではない。帰ってこられないのは大人だけだった。大人が妖精の森に足を踏み入れた場合、100%誰一人として戻ってくることはなかった。一方、子供の場合は数時間から数日後にひょっこり村に戻ってくることがあった。だが、戻ってくる子供たちは誰一人として森のどこをどう歩いたのか覚えていなかった。残っているのは森のどこかで妖精らしきものと遊んだような気がするという曖昧な記憶であった。そして、この曖昧な記憶は大人になる頃には忘れてしまう。ゆえに、妖精の森の場所は誰も知ることがなかった。少年Pは当然、この噂を耳にしていた。彼だけではなく、村の人間は大人から子供まで全員が妖精の森は知っている。だが、好奇心旺盛な子供たちにとってこの森は、恐ろしい場所という以上に肝試しをするのに最適の場所という意味合いが強かった。少年Pも親には内緒で、友人の少年S、少年Cとともに妖精の森探しを試みていた。 「お、来た来た!遅いぞP!」 「S、C!ごめんごめん!」 「よし、全員揃ったし、今日こそ妖精の森を見つけるぞ!」 3人は意気揚々と森の中へ入っていった。彼らは友人と一緒ということもあり、気が大きくなっていた。それだけではなく、そう簡単には見つからないだろうという思いもどこかにあり、完全に油断していた。そのため、本物の妖精の姿を目の当たりにした彼らは「あっ!」という叫び声を上げた後、固まってしまった。 「ようこそ、私たちの世界へ。君たち、お腹空いてないかい?レストランで何か食べていかない?」 突如現れた妖精は手招きをしながら、少年Pらに声を掛けた。 衝撃のシュルレアリスム文学。待望の一編は袋とじにて完結。乞うご期待。
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