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夜と朝の境界が溶け合う蒼空の奥深く、星々と虹が静かに交差する場所がある。そこは人の記憶にも、歴史の書にも記されない世界――星虹の彼方に眠る城だ。 深い群青の空には無数の星が瞬き、天の川が淡い光の帯となって流れている。細い月は優しく空を照らし、二重に架かる虹は夜空に色彩の奇跡を描き出す。その下、雲海に抱かれるようにして、静かに城は浮かんでいる。 この城は、かつて「願い」を守るために築かれたと言われている。人々が胸に秘めた希望や祈りが、光となって空へ昇るとき、その行き先として選ばれた場所――それがこの城だった。城壁は星の光を宿し、塔は空へ伸びる夢そのもののようにそびえ立つ。近づけば、どこからともなく微かな鐘の音が聞こえ、時が緩やかに流れていることを感じさせる。 空を舞う光の蝶たちは、城に集まる想いの化身だ。彼らは記憶のかけらを運び、忘れられそうな願いをそっと守るため、夜空を漂い続けている。蝶が羽ばたくたび、星屑のような光が散り、世界は一層幻想に満ちていく。 やがて地平線から淡い光が差し始めると、城は再び深い眠りへと沈んでいく。朝が完全に訪れる頃、虹は薄れ、星は姿を隠し、城も雲の奥へと消えてしまう。しかし、その存在が失われることはない。人が夢を見る限り、願いを抱く限り、この城は星虹の彼方で静かに息づき続ける。 これは、現実と幻想の狭間に浮かぶ、希望の記憶の物語。 星虹の彼方に眠る城は、今日も誰かの夢を待ちながら、蒼空の奥で静かに輝いている。
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