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この世界、アルスダールの古語でロキとは”傍観”を意味するという。 そうした古い言葉をわざわざ自身の名前に選ぶ人間はそう多くはないだろうが、いつの時代にもロキと呼ばれる男は確かに存在する。 たとえば、トルメドニア王国の宰相の補佐官の一人にロキという男が存在するようだが、彼が王宮で仕事をしているところを実は誰も見たことがない。 たとえば、ロキの元に希にペットなのか使役獣なのかよくわからない鳥がやってくることがあるらしいが、いつ、どこでのことだったか証言は曖昧だ。 ではロキなどという男は実はいないのかというと、となりの執務室でひとり机に向かって何かを綴っていた見慣れない男は、そういえばロキと呼ばれていた。 存在すら曖昧で、多くの謎に包まれた男。それがロキと呼ばれる男なのだ。 あるとき王が「ロキを呼べ」と命じた際には宰相ですら誰の事かわからなかったくらいである。 愚直なひとりの補佐官が「そのような者は居りません」と答えたが、その刹那、彼の意識は途切れた。 以降、王がロキを呼ぶことがあると、官僚達は皆震えあがったそうである。 そして、またひとつ疑問が湧く。 それでは目の前の男は”ロキ”なのか?と。
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