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この路地を歩いたことがなくても、 なぜか「知っている」と感じてしまう―― そんな不思議な記憶を呼び覚ます一枚です。 スペイン・コルドバの花の小道をモチーフに描かれた本作は、 現実の街並みを丁寧に写し取りながらも、 水彩という表現によって“時間”と“空気”を溶かし込んでいます。 白壁の色彩はとても複雑です。 アイボリー、淡いグレー、温かなベージュが静かに混ざり合い、 光の角度や湿度までも感じさせる繊細な層を成しています。 その上に浮かぶ青い植木鉢は、 コバルト、ウルトラマリン、セルリアンブルーが重なり合うことで、 視線と感情を一瞬で引き寄せる「記憶の青」として存在します。 この青は主張しすぎない。 しかし確実に、作品全体の鼓動となっている。 それが、この絵が長く見続けられる理由です。 植物は写実的でありながら、 葉の縁や影の揺らぎには、ほんのわずかな幻想が忍ばせてあります。 それは魔法ではなく、 旅先でふと感じる「言葉にならない違和感」や 「懐かしさに似た静けさ」のようなもの。 遠景に溶け込む歴史的建築のシルエットは、 この路地が“今”だけでなく、 積み重ねられた時間の中に存在していることを静かに語ります。 見る人を圧倒するための絵ではありません。 声高に語ることもしない。 ただ、視線を留めた人の心に、 ゆっくりと染み込んでいく一枚です。 日常の中に、 静かな余白と詩情を置きたい方へ。 この作品は、空間に飾られた瞬間から、 その場所の「呼吸」を変えてくれるでしょう。
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