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その植物の発見は人類の長年の悩みを解決するとして、脚光を浴びていた。植物の名前はペタペタ。発見されたN国の地元の小学生が命名したものである。名前の由来はこの植物の最大の特徴からきていた。この植物は十数メートル程の背丈の太い幹を持ち、その頂部に粘着性の器官を備えていた。ペタペタの木はこの粘着性の器官によって他の植物の花粉を絡め取る性質があった。 植物学者や専門家たちは今までに見たことのない植物であるとして驚きの声を上げた。彼らの予測では、この植物は花粉を絡め取る性質で他の植物の繁殖を阻害し、その土地の優占種となっていくと考えられていた。 太く硬い幹は風に強いため、そのような地域で風に乗って飛ぶ花粉を絡め取り、他の植物との生存競争に勝っていくのだろうと彼らは言った。だが、そうなると腑に落ちない点がある。何故、ペタペタの木はこれまで人類の目に触れずにいたのか。ペタペタの木の生存戦略を考えると、どの大陸でも優占種となっていそうなものであるが、実際にそうはなっていない。この点だけは植物学者や専門家にとって明確な理由を見つけられない謎であった。とはいえ、この植物が他の植物の花粉を絡め取ってくれることは確かであり、人類の悩みの種である花粉症の問題を解決してくれる救世主として期待が高まっていた。 植物学を専攻するN国の大学院生のミスター・Pは、このペタペタの木のルーツがどの地域にあるのか興味を持っていた。そして、彼は一大決心をして学校を休学、ペタペタの木の原産地を探す旅に出ることにした。どれくらいの年数がかかるかわからないが、上手くいけばこれで論文を書けると思いながら、ミスター・Pはペタペタの木のルーツ探しの旅を続けた。彼は手始めに、強い風が吹き大きな森林が多く存在するF地域を探索地域に選び、飛行機に乗った。 衝撃のシュルレアリスム文学。待望の一編は袋とじにて完結。乞うご期待。
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