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薄いヴェール越しにシズクを見る。整った顔立ちの中でひときわ目立つ銀の瞳はいつだって真っ直ぐ他人を見るのを躊躇っている。 映す景色によってその色をくるくる変える瞳を自分はとても綺麗だと思うのだが、相対する人間を竦み上がらせるのに十分な輝きを持っていることも事実だ。幸い自分はその輝きを怯えるほど細い神経をしていないというだけで。 怯えているのは相対する人ばかりではない。シズクも怯えられることを怖がっている。人と目を合わせることを怖がっている。 ―――迷子になった子供みたい。 逃げることも出来ず、進むことも出来ず、戸惑いながら精一杯そこに立っている。自分ではどうすることも出来ずに、手を差し伸べられると拒絶と期待の入り交じった目をおそるおそる向けてくる。 想像してみて、ぴったりかもしれないと少し笑った。それに気付いてシズクが不審そうな目を向けてくる。 目を覆っているヴェールのせいか、巫女という私の立場からか、彼は私を見る時はあまり警戒をしない。銀の瞳を真っ直ぐ見てにこりと笑ってみる。ますます訝しげな顔をされた。 「シズクの目、綺麗ね」 「は?」 「綺麗なもの、好きよ。目に見えても見えなくても。だからあなたも割と好き」 怯えなくて良いんだよと抱きしめる腕になれたらいいのにとたまに思う。だけどそれは叶わないから、せめて言うだけ言ってみる。 シズクは訳が解らないと顔中で表現して、ふいとそっぽを向いた。顔がほんのり赤いのでまた小さく笑ったら、今度は思い切り睨まれた。 [レイカ]
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