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それは、突如として地球に現れた。見た目は地球人と見分けがつかない姿であったが、着ている服が地球のものとは思えなかった。新進気鋭のパリのぶっとんだデザイナーでも、考えつかないような服装だった。彼を仮に怪人Pと呼ぶことにしよう。怪人Pは、しばらくその場に立ち尽くし、地球人を観察した。どのように話し、どのように動くのか。また、どのような表情を作るのか。怪人Pは1時間ほど観察を続けた後、呟いた。 「うーん。こんなかんじかな。」 怪人Pは服装を地球人にあわせると、町中を歩き始めた。彼はキョロキョロと周囲を見ながら歩いていた。すると、男に声をかけられ。 「おい、てめえ!何見てんだコラ!」 男は怒鳴り付けてきた。 「わたしですか?」 「てめえ以外誰がいるんだ?このボケナスが!」 男は怪人Pを突き飛ばすと、倒れ込んだところを蹴り飛ばした。怪人Pはうずくまっていた。通行人は見て見ぬふりをした。 「二度とガンつけてくんじゃねえぞ!カスが!」 男はそう言うと立ち去った。 「ふふふ。きょうぼうだな、このほしのひとは。」 怪人Pをは平然と立ち上がると、にやりと笑った。彼は再び町を歩き始めた。 「あの…すみません。」 怪人Pは2人組の通行人に声を掛けた。 「あの、急ぎますので…。」 通行人は怪人Pを避けるように去っていった。彼は聴力が優れており、2人が「気持ち悪いな、話しかけてくんなよな。」と話しているのが聞こえた。 「ふふふ。たにんにたいするおもいやりもないな。」 怪人Pは、またもにやりと笑っていた。彼はこの後、複数の通行人と同様のやりとりを繰り返し、やっと話を聞いてもらうことができた。 「すみませんが、てれびきょくというのはどちらでしょうかね?」 怪人Pの話を聞いてくれたのは、散歩中の老人だった。 「あそこに地図がある。見なされ。」 老人は怪人Pの質問には答えたものの、どこかぶっきらぼうであった。怪人Pは満足気な顔で地図のあるところまで歩いていった。 「てれびきょくはけっこうとおいいな。そうだ、ほんでもよんでいくか。べんきょう、べんきょう。」 彼は本屋に寄り、何冊か本を素早くくすねると何食わぬ顔でテレビ局を目指した。彼が何故テレビ局を目指しているのかは、知る由もないことだった。 衝撃のシュルレアリスム文学。待望の一編は袋とじにて完結。乞うご期待。
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