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【クリプトシアン 49号機】 ポートレートから派生したコレクションです。 最初はただ友達が欲しくてロボットを作っていた博士ですが、O木さんという助手がやってきて、町の人々と交流するうちに、次第にクリプトシアンを友情の証として開発していくようになりました。O木さんこそが友人だと気づいた博士は、地下研究室の天井に描いた青空にちなんで付けた名前に、一文字足しました。cryptOcyanのOはO木さんのオーです。 【第49話】 私には兄がいました。 とても頭がよくて、理性的で、怒ったところなんて見たことがありませんでした。 おもしろいお話をたくさんしてくれる兄が私は大好きでした。 ある日、私が学校から帰ってくると、兄が大きな荷物を持って家から出てきました。 「あれ?兄ちゃん、旅行?」私がそう尋ねると、兄は「うんそんなところだよ」と優しく微笑んで足早に駅の方へ歩いて行きました。 兄と会ったのはそれきりです。私が13歳の頃で、兄はたしか19歳でした。 それからしばらくして、今度は両親が離婚しました。 私は母について行きましたが、兄は父の方へ行ったようでした。 母はもともと私に対して依存の強い人でしたが、離婚したことによって拍車がかかりました。 LINEのメッセージには5分以内に返信しないと鬼電の嵐、返信したとしても返ってくるのは「どうせあんたも私のことなんかどうでもいいとか思ってるんでしょ」とか、「うっとおしいって顔してるの知ってるよ」とか、「あんたを見てるとあの人思い出して嫌なの」とかそんなものばかりで、本当にうんざり。 父は機械いじりが好きな、出版社のライターでした。色々な雑誌で記事を書いていたみたいですが、オカルトとか都市伝説系の雑誌の部署に異動した時は少し嬉しそうでした。特にオーパーツの話や最新技術の話を書くときは楽しいと父は言っていました。取材して聞いてきた話をたくさんしてくれては、最後に必ず私に「父さんの話おもしろいか?」と訊いてきました。私はなんと答えたら良いのかわからず「うん」と返事をすると、父は本当に嬉しそうに笑うのでした。 そんな父に感化されて、私も小さなロボットを作ってみたり、ChatGPTのAPIを組み込んだプログラムを書いて、擬似的な会話ロボットを作ってみたりしました。全て父が教えてくれながら一緒に手伝ってくれて、私にとって父を独り占めできる大事な時間でもありました。 そんなところも気に入らなかったのかもしれません。母は何かにつけて私に冷たくなることもありましたが、ご飯は作ってくれたし、洗濯もしてくれたし、親としての責任を全うしようと一生懸命がんばっているのは分かっていたので、私は母の態度には触れずにいつも通り接するようにしていました。 (袋とじにつづく)
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